オーストラリアの治安は良い?気になる主要犯罪の対策とエリア別注意点

多くの直行便が飛び、日本人の人気観光地としても親しまれているオーストラリア。国から連想されるのはコアラやカンガルーといったかわいい動物、ダイナミックな自然、陽気な国民性など、プラスのイメージが大半ではないでしょうか?

治安についても悪いイメージは少ないものの、オーストラリア旅行の際には気をつけた方が良いこともあるようです。現地に潜む危険を認識しながら、安全にオーストラリアを楽しみましょう。

平和な国ランキング第13位!オーストラリアは治安が良い

ブリスベンの街並み

2019年にInstitute for Economics and Peace(IEP)が作成した世界平和度指数(GPI)によると、世界163ヶ国を対象にした「平和な国」ランキングで、オーストラリアは第13位にランクインしました。同調査で日本は第9位に選出されています。このことからも、国の治安について、オーストラリアは日本と同程度の高い水準であることがわかります。

オーストラリアで起こり得る6つの危険と対策

安全度の高い国ですが、在オーストラリア日本国大使館のデータによると、一般犯罪の発生率は日本に比べると高いよう。気持ちが緩んでいると、不意に置き引きや窃盗などに遭遇することもあり、油断は禁物です。

以下にオーストラリアで発生する可能性が高い危険についてまとめてみました。対策も一緒に確認しましょう。

危険な動物に気をつけて

ホオジロザメ

自然豊かなオーストラリアだからこそ、日本にはない独特な生き物や植物が存在します。中には人間の生命を脅かす危険性の高いものもあるので、事前に知っておくことが大切です。興味本位で触ったり、近づいたりしないようにしましょう。

クラゲカツオノエボシ(blue bottle jellyfish)

オーストラリアの海で一番気を付けなければならないのが、「クラゲ」です。ゴールドコーストのビーチなどでは、”ブルーボトル“と呼ばれる青いクラゲが大量発生する時期もあり、現地でも注意喚起がされています。

ブルーボトルの毒性は強く、刺された箇所には激痛が走り、炎症によって腫れ上がってきます。ビーチで見かけたらすぐにその場を離れるようにしてください。

もし刺されてしまったら、まずは落ち着いて触手を取り除き、冷水や氷で冷やす、または45°C程度のお湯につけて応急処置をしてから、近くの病院に行くようにしましょう。

サメ/ホオジロザメ(great white shark)

サメによる被害はオーストラリアでは数多く報告されています。2018年は年間20件発生しており、1件は致命的な被害となっています。海水浴を楽しむ際は、派手な水着を着ることは避け、監視員がいる整備された海水浴場を選びましょう。海の中ではひとりではなく、集団で行動した方が狙われにくいです。

クモ/セアカゴケグモ(red back spider)

オスは体長3~5mm(脚は含まない)、メスは体長1~2cmの小さなクモ。雨に濡れるのを嫌い、バーベキュースタンドや植木鉢の裏側などに巣を作ります。見えないところにいるため、存在に気づかず、うっかり刺されてしまうケースが多いです。メスが毒をもっており、刺された場合は激しい痛みや腫れが起こります。

鳥/マグパイ(magpie)

毎年10~12月の春になると繁殖期を迎えるため、自転車に乗る人やランニングを楽しむ人に襲いかかることがあります。クチバシで攻撃されて失明したケースも。ヘルメットやゴーグルを着用し、襲われそうになった際は、自転車から降りる、走らずに歩く、鳥の方を見ながら遠ざかるといった対策を心がけましょう。

観光客は窃盗犯の標的にされやすい

バッグとサングラス

日本人が被害となる事件の中で多いのが、置き引きやスリ、ひったくりなどの盗難です。レストランやカフェでカバンを盗まれるケースが多発しているため、食事や会話に夢中になり過ぎないように注意が必要です。

また、観光客が多く集まる人混みの中は、窃盗犯にとって絶好のチャンス。移動の際は自分の荷物をしっかりと持ち、目を離さないようにしましょう。バックパーカー向けのホテル、複数で同居するシェアルームでの盗難も増加傾向にあります。

窃盗への対策

  • カバンはなるべく体の前で持ちましょう
  • 横を通行する車や自転車に注意を配りましょう。斜めがけバッグは、盗られにくい反面、引きずられて怪我をする恐れがありますのでご注意ください
  • 貴重品は分散して持ち歩くようにしましょう
  • ホテルでのチェックインやチェックアウト、お店での会計など、手続きを行う際も携行品に対する注意や警戒を怠らないようにしましょう
  • 飲食店では、椅子の背もたれに貴重品が入った上着やバッグをかけたままにしないようにしましょう。席を離れる際も、必ず貴重品を持って移動しましょう

女性は特に性犯罪に注意

特に女性に気をつけて欲しいことが性犯罪です。パブが多い繁華街では、週末の深夜になると酒に酔っての喧嘩や言いがかりをしてくる若者、麻薬常習の不審者がいる可能性が高く、暴行事件や性犯罪が後を絶ちません。

レストランやパブでは、飲み物などに薬剤を入れられて襲われるケースもあるため、十分に注意が必要です。

性犯罪への対策

  • 夜遅くの外出は避けましょう
  • 昼間に出歩く際も、人気のないところではなるべくタクシーを使うなど、ひとりにならないように気をつけましょう
  • 飲食店や公共の場所では、安易に見知らぬ人の誘いにのらないようにしましょう
  • 知人に対しても、拒絶する場合ははっきりと意思表示をして断りましょう
  • バス停で待っている間に襲われるケースも多発しています。公共バスを利用する場合は、運行スケジュールを事前に確認しておき、バス停での待ち時間を最小限にしましょう

麻薬の危険から身を守って

オーストラリア国内ではコカイン・覚せい剤などの薬物が若者を中心に広く乱用されています。海外からの密輸入に加えて国内での違法栽培も多発しており、路上での麻薬服用運転取締りが全土で行われています。

メインストリートを一歩外れると、日常的に薬物売買が行われている地域もあり、観光客としてオーストラリアを訪れる際も注意するようにしましょう。特に路上やナイト・クラブでの密売が横行しているようです。

麻薬への対策

  • 軽い気持ちで薬物に手を出すことは絶対に避けましょう
  • 危険そうなエリアを避け、慣れなれしく近寄る人は相手にしないようにしましょう

車上荒らし対策も万全に

広大な土地を思う存分観光するため、自動車を使ってオーストラリアをまわる方も多いのではないでしょうか?しかし、現地では自動車の盗難被害が多発しています。

車上荒らしは観光地ではもちろん、サーフィンや海水浴で立ち寄った海岸沿い、また公園などに駐車する際も起こっています。給油といった、ほんの数十秒車を離れる間でも狙われる可能性が十分あるので注意しましょう。

車上荒らしへの対策

  • 車上荒らし防止のため、貴重品やバッグは車内に放置しないようにしましょう。もしも荷物をトランクに保管する場合は、他人に見られていないか、周囲に気を配りながら収納しましょう
  • パーキングメーターのある場所だとしても、路上駐車はできる限り避けましょう

オーストラリアでテロは起こる?

オーストラリアでのテロ事件による日本人被害者はまだ確認されていませんが、2017年6月、2018年11月にメルボルンで発生したテロ事件では死傷者が出ています。

オーストラリア連邦政府によると、テロの脅威レベルは「Probable(起こりそうである)」とされ、5段階のうち、上から3番目の危険度となっています。具体的な脅威があるわけではなく、過度に心配する必要はないですが、現地での情報収集は必須です。

テロへの対策

  • 海外安全ホームページや報道などから最新の治安情報を入手しましょう
  • テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識しましょう

州都は危険!州別の発生しやすい犯罪は?

オーストラリアの街並み

オーストラリアにある8つの州で、それぞれ危ない場所と発生しやすい犯罪をまとめました。観光客が集い、人口が多い州都は、どの州でも危険度が高いよう。誘惑が多い分、警戒心が削がれるのかもしれません。

首都特別地域(ACT)

オーストラリアの首都キャンベラがあるこの州は、各省庁が集まり、計画的に街作りが進められています。オーストラリア全体で見ると、犯罪発生率は低いものの、複数のギャンググループが存在するなど気になる点も。凶悪なギャング同士の抗争が起こることもあります。

ニューサウスウェールズ州

州都のシドニーでの事件数が多くなっています。その中でも観光客が多いロックス、オペラハウス、ダーリングハーバー周辺はひったくり被害が多発している地域です。キングスクロスやチャイナタウンなど繁華街の近くもトラブルが起こりやすいので注意しましょう。

ビクトリア州

州の中でも、公園や庭園が多く、緑豊かな美しいガーデンシティとして有名な州都メルボルンで犯罪の発生が集中しています。スラム街といった特定の危険地区はないですが、日本と比較するとほとんどの罪種で発生数が上回っています。

クイーンズランド州

州都ブリスベンやゴールドコーストでは、自動車の盗難被害が多発しています。また、過去にはブリスベン中心部の公園で、日本人が複数の男に取り囲まれ、顔面を殴られたうえ、所持品を強奪される事件も発生しています。

南オーストラリア州

治安は比較的安定していますが、州都アデレードとその周辺では、路上強盗、自動車の盗難などの発生が見られます。アデレードの中でもHindley St.は、週末の夜間になると多くの人が集まることから、飲酒によるトラブルが多発しています。

西オーストラリア州

路上強盗、家屋侵入、車上荒らしが数多く発生しています。特に州都パース中心部では注意が必要です。ショッピングセンターでショッピングカートに荷物と鞄を入れていたところ、気づいた時には財布がなくなっていたという被害もあります。

タスマニア州

1996年のポートアーサーでの乱射事件以降は、重大な事件の発生はなく、比較的安定しています。州都ホバートなど、人口の多い街ではショッピングセンター駐車場での車上荒らし、ひったくりが多く発生しています。

北部準州

この地域には先住民族アボリジナルの人々が多く住んでいるため、アボリジナルコミュニティ内での飲酒のうえでの暴行・傷害事件が目立ちます。観光客に影響が及ぶことはほとんどないようですが、油断は禁物です。

万が一の時は「000」に電話を!

それでも万が一、犯罪に巻き込まれてしまったら「000」に電話しましょう。警察、消防署、救急車につながります。通話料は無料ですが、救急車の利用は有料となりますのでご注意ください。

トラブルに巻き込まれないよう、十分な心構えを準備したうえで、オーストラリアでの滞在を楽しみましょう。